2023年9月26日会議活性化のために『論点』をクリアにしよう
★会議で発言がない大きな原因
私は数年前からファシリテーションセミナーの講師をしています。
そのセミナーの参加者に会社の会議の問題点話を尋ねると、「ほとんど発言がない」という問題をあげる人がかなりいます。
せっかく多くの人の時間を割いて集まっているのに発言が出ないのは、とても勿体ないことです。
発言が少ない原因の一つに『論点が曖昧』ということがあります。
今回は、『会議の論点』をテーマにお話します。
例えば、あなたが出席した会議の冒頭で、次のような発言があったとします。
「私は、残業時間を減らすために、一人ひとりが仕事の改善を考える必要があると思っています。
そうしないと、仕事の効率化は実現できません。
そして、そのために社内に提案制度を作る必要があると考えています。
これについて、皆さんの意見を聞かせてください」
さて、このように問い掛けられたら、あなたは発言できるでしょうか?
★論点が曖昧だと発言できない
この問い掛けられたことに特に違和感を感じなければ「賛成です」と簡単に答えるでしょう。
しかし、しっかりと考えて意見を言おうとした場合、「何だか答えにくいなぁ」と思うはずです。
なぜ答えにくいのでしょうか?
それは、論点が曖昧な問い掛けだからです。
上の問い掛けには議論すべき論点が3つ含まれています。
① 残業時間を減らすためには、仕事の効率化を実現する必要があるのではないか
② 仕事の効率化は、一人ひとりが仕事の改善を考えないと実現できないのではないか
③一人ひとりが 仕事の改善を考えるために、社内に提案制度を作ることが有効ではないか
上の問い掛けではこの3つの論点を分けずに「これについて」と問いかけてしまっています。
このため、聞き手は何について話せばいいのかわからず、思考が停止してしまいます。
意見を言おうにも言えなくなってしまうのです。
★指示代名詞には要注意
特に論点を曖昧にしてしまうものが、「これについて」などの指示代名詞です。
指示代名詞は、我々の会話の中で実に頻繁に使われています。
しかし、この指示代名詞が会話の内容を曖昧にしている場合がとても多いのです。
なので私は、会議などで指示代名詞が使われると必ず「今、『これについて』と仰いましたが、その『これ』は何を指していますか?」と確認します。
それでも、「これについて」という問い掛けに対して発言する人はいます。
そういう人は「この」がどれを指しているのかは気にせず、上の発言の中で自分が気になったことについて発言しているのです。
「提案制度はいいけど提案が出るような工夫がいると思います」
「仕事の効率化のためには事務のIT化が必要です」
「そもそも残業削減は、何のために行うのでしょうか」
こうした意見や質問が出るのはよいことですが、論点が定まらないままバラバラに発言されます。
その結果、意見をとりまとめて結論を導くことが非常に難しくなります。
★論点を分けて会議を進める
では、どのようにすれば発言が出て、効果的な議論ができるのでしょうか。
それは、議論できるように論点を分ければいいのです。
上の例では①~③の3つの論点があることを述べました。
この論点を分けて、順に議論していくのです。
まず①について異論がないか確認します。
異論がないようなら②でよいか、という論点に移ります。
そして②で良ければ、最後に③を論点として議論します。
この順番を意識することで、はじめて論理的な議論ができるのです。
ところで、論点についてはもう一つ注意することがあります。
それは論点を大きくし過ぎないことです。
例えば、
「今期の営業目標達成について意見をください」
と言われても少し漠然としています。
そのため、思いつくままに色々な面での話が出て、収拾がつかなくなる可能性もあります。
しかし、
「今期の営業目標を達成するために、どういうお客様をメインターゲットにすべきか意見をください」
と言われれば、具体的なイメージが湧いて発言しやすくなるでしょう。
会議においては、論点をどのように設定するかはとても重要なことです。
ぜひ会議の前に、発言しやすい論点をしっかりと設定してください。